クレジットカードは海外旅行でどう使い分ける?

クレジットカードは海外旅行でどう使い分ける?

海外旅行では、クレジットカードを1枚に絞らず、役割を分けて2〜3枚持つのがおすすめです。普段の買い物用とは別に、海外利用手数料が低いカード、予備の国際ブランドが異なるカード、海外旅行保険や空港サービスを重視するカードというように使い分けます。

ただし、カードの海外利用手数料、旅行保険の適用条件、利用限度額、現地での使いやすさはカードごとに異なります。出発前にカード会社の公式情報で確認してください。

海外旅行でのクレジットカードの基本的な使い分け

基本は「メインカード」「予備カード」「現金・別の決済手段」の3つに分ける方法です。すべての支払いを1枚に集めると、紛失や利用停止が起きたときに困るためです。

役割 向いているカード・手段 主な用途
メインカード 海外利用手数料や使いやすさを重視したカード ホテル、レストラン、買い物、交通費
予備カード メインカードと異なる国際ブランドのカード メインカードが使えない場合の支払い
現金・別の決済手段 少額決済やカードが使えない店舗に対応できるもの チップ、屋台、小規模店舗、交通機関など

予備カードは、メインカードとは別の財布や荷物に保管します。カード番号や連絡先を控え、紛失時にすぐ利用停止できるようにしておくと安心です。

メインカードは海外利用手数料で選ぶ

海外でカードを使うと、現地通貨の金額を日本円に換算する際に、カード会社所定の海外事務手数料などが加算されることがあります。手数料率や計算方法はカードごとに異なるため、年会費だけでなく海外利用時の費用を確認しましょう。

海外での利用額が大きい人ほど、海外利用手数料の差が支払総額に影響します。比較するときは、次の項目をカード会社の公式ページや会員規約で確認します。

  • 海外利用時にかかる事務手数料
  • 手数料が適用される基準日や換算方法
  • 年会費や、年会費を無料にする条件
  • ポイント還元率と、海外利用時の対象外条件
  • 利用通知や一時停止をアプリで設定できるか

たとえば、仮に海外利用手数料が1%異なり、海外で20万円使った場合、単純計算では差額は2,000円です。実際の請求額は換算レートや各社の計算方法によって変わるため、これは比較のための計算例です。

国際ブランドを分けて、使えない場合に備える

メインカードと予備カードは、可能なら異なる国際ブランドにします。同じブランドのカードだけにすると、店舗や決済端末の対応状況、カード側の一時的な障害などによって、複数枚とも使えない可能性があるためです。

ただし、「この国では必ずこのブランドが使える」と一律には判断できません。都市部と地方、ホテルと小規模店舗、オンライン決済と実店舗では対応状況が異なります。

旅行先で使えるかを確認するときは、次の順番で調べます。

  1. 訪問するホテル、航空会社、レンタカー会社などの支払い方法を確認する。
  2. 旅行先の主要な交通機関や観光施設で対応ブランドを確認する。
  3. メインカードと予備カードが同じ国際ブランドに偏っていないか確認する。
  4. カードが使えない場合に備え、少額の現地通貨や別の決済手段を用意する。

レンタカーやホテルでは、予約時のカード決済とは別に、デポジット(保証金)のためカードの利用枠が一時的に確保されることがあります。必要な利用可能額やカードの種類は事業者によって異なるため、予約条件を確認してください。

支払い用と海外旅行保険用でカードを分ける

海外旅行保険を重視する場合は、補償内容だけでなく適用条件を確認します。カード付帯保険には、カードを使って旅行代金などを支払った場合に適用されるタイプと、カードを持っているだけで条件を満たすタイプがあります。

「海外旅行保険が付いている」という表示だけでは、実際の補償対象や金額までは判断できません。少なくとも次の項目を確認してください。

  • 保険が自動付帯か、利用条件付きか
  • 旅行代金のどの支払いが条件になるか
  • 補償される旅行期間
  • 傷害・疾病の治療費用の補償額
  • 携行品損害、賠償責任、救援者費用の補償内容
  • 家族や同行者が補償対象になるか
  • 他の保険やカード付帯保険と補償を合算できるか

保険目的のカードをメイン決済カードと同じにする必要はありません。旅行代金の支払い条件があるカードなら、条件を満たす支払いをそのカードで行い、日常の海外利用は手数料や使いやすさを優先した別のカードにする方法もあります。

海外キャッシング用のカードは別に考える

現地通貨をATMで引き出す場合、クレジットカードの海外キャッシングを利用できることがあります。ただし、ATM手数料、利息、返済日、繰り上げ返済の方法はカードによって異なります。

海外キャッシングを使うカードを選ぶときは、次の点を確認します。

  • 海外キャッシングの利用枠が設定されているか
  • 暗証番号で利用できるか
  • ATM手数料や利息がどのように計算されるか
  • 帰国前または帰国後に繰り上げ返済できるか
  • 利用通知を受け取れるか

ATMでは、カードを入れた後に「日本円で請求するか」「現地通貨で請求するか」を選ぶ画面が表示されることがあります。これはATM側が為替換算するダイナミック・カレンシー・コンバージョン(DCC)の案内である場合があります。

現地通貨での請求を選んだほうが有利とは限りませんが、日本円を選ぶとATM運営会社などが設定した換算レートや手数料が適用されることがあります。画面に表示されたレートと手数料を確認し、内容が分からないまま確定しないでください。

現地通貨と日本円のどちらで支払うか

店舗で「日本円で支払うか、現地通貨で支払うか」と聞かれた場合も、DCCが提示されている可能性があります。現地通貨を選ぶと、カード会社側の換算が使われるのが一般的ですが、最終的な手数料やレートはカード会社の条件によります。

日本円での請求額がその場で分かるという理由だけで、必ず有利になるわけではありません。支払い画面に表示された換算レート、手数料、請求通貨を確認してから選択します。

タッチ決済用と暗証番号入力用を使い分ける

少額の買い物や交通機関ではタッチ決済が便利ですが、すべての店舗や端末で使えるとは限りません。ホテル、レンタカー、無人端末などでは、カードの挿入や暗証番号の入力を求められることがあります。

そのため、タッチ決済対応カードだけでなく、次の情報も出発前に確認しておきます。

  • カードの暗証番号を把握しているか
  • ICチップ付きの実物カードを持っているか
  • スマートフォンの電池切れに備えているか
  • カードの利用限度額に余裕があるか

スマートフォンのウォレットに登録したカードは便利ですが、端末の故障や電池切れに備え、実物のカードを別に持つほうが対応しやすくなります。

出発前にカードごとの役割を決める手順

カードを持っていく枚数を増やすだけでなく、どのカードを何に使うかを事前に決めておくことが大切です。

  1. メインカードを決める。海外利用手数料、利用可能額、旅行先での使いやすさを確認します。
  2. 予備カードを決める。メインカードとは異なる国際ブランドを優先し、別の場所に保管します。
  3. 旅行保険の条件を確認する。利用条件付きなら、対象となる旅行代金の支払いを指定カードで行います。
  4. 利用限度額を確認する。ホテルやレンタカーの保証金で利用枠が確保される場合も考えます。
  5. 海外利用設定を確認する。アプリや会員ページで、海外利用制限、利用通知、本人認証の設定を確認します。
  6. 連絡先を控える。カード会社の海外からの問い合わせ先と、カード番号を安全な場所に記録します。
  7. 少額の現金を用意する。カード非対応の店舗や、カード障害が起きた場合に備えます。

利用通知が届いたら、レシートや利用時刻と照らし合わせて不審な請求がないか確認します。身に覚えのない利用があれば、カード会社の案内に従ってすぐに連絡してください。

目的別に見る、海外旅行でのカードの選び方

重視すること 選ぶときの基準 使い方
支払い費用を抑えたい 海外利用手数料と年会費を比較する 手数料を確認したカードをメインにする
カードが使えない事態に備えたい 異なる国際ブランドを用意する 予備カードを別の場所に保管する
保険を重視したい 自動付帯か利用条件付きか、補償範囲を確認する 必要な旅行代金を条件に合うカードで支払う
現金を現地で用意したい 海外キャッシングの手数料、利息、返済方法を確認する 必要額だけATMで引き出す
少額決済を簡単にしたい タッチ決済対応の有無を確認する 実物カードも予備として持つ

海外旅行で避けたいカードの使い方

  • カードを1枚だけ持って行き、すべての支払いを集中させる
  • 海外利用手数料を確認せず、還元率だけで選ぶ
  • 利用可能額を確認せず、ホテルやレンタカーの支払いに使う
  • 予備カードをメインカードと同じ財布に入れる
  • 現地通貨と日本円の請求を確認せずに決済する
  • 暗証番号やカード会社の連絡先を確認しないまま出発する

特に、カードの利用限度額と利用可能額は同じとは限りません。すでに使った金額や、ホテルなどで一時的に確保された金額によって、実際に使える残りの枠が少なくなることがあります。

海外旅行のクレジットカードは「費用・予備・保険」で分ける

海外旅行では、海外利用手数料が分かるカードをメインにし、異なる国際ブランドのカードを予備として持つのが基本です。旅行保険を使う場合は、付帯の有無だけでなく、旅行代金の支払い条件と補償範囲を確認します。

出発前に最初に行うことは、手持ちのカードについて「海外利用手数料」「国際ブランド」「旅行保険の条件」「利用可能額」「海外からの連絡先」を一覧にすることです。そのうえで、支払い用、予備用、保険用の役割を決めておくと、現地で迷いにくくなります。